「AO入試ってなんだかずるい気がする…」そう感じたことはありませんか?
必死に勉強して一般入試に挑む人がいる一方で、模試の判定が低くてもAOで合格してしまう人がいる。この現実を目にすると、「努力が報われないのでは?」という不安や、「制度そのものが不公平では?」という疑問が頭をよぎります。
しかし、AO入試は本当にずるい制度なのでしょうか? 実はそこには、外からは見えにくい膨大な準備や、合格者だけが抱える苦労が隠されています。本記事では、ネット上の声や実際の体験談、そして他では語られない“唯一の視点”から、「AO入試はずるい」という疑問の真相を徹底的に掘り下げていきます。
「AO入試はずるい」と言われる背景
AO入試(現在は総合型選抜と呼ばれる)は、「学力試験では測れない力」を評価するための制度です。しかし現実には「AO入試はずるい」と感じる人も多く、その理由は複数あります。
一般入試組から見た“不公平感”
一般入試組の多くは、長時間勉強を積み重ねて偏差値や点数で勝負しています。そのため、AOで「学力試験なし」に見える合格者を目にすると、不公平だと感じやすいのです。
実際に Yahoo!知恵袋 では、
「自分は模試でE判定だったのに、AOで友達が有名大学に合格した。ずるい気がする」
といった声が見られます。努力量を数字で表しやすい一般入試組にとって、AO入試は「楽して合格したように見える」仕組みなのです。
評価基準が不透明で「運」に左右されるように見える理由
一般入試は点数がすべてですが、AO入試は「書類」「面接」「活動実績」で判断されます。これが不透明さを生み、「運ゲー」と批判されやすいのです。
面接官の主観が大きい
同じ回答でも、面接官の価値観や相性によって評価が変わることがあります。受験生本人の力だけではコントロールできない部分があるため「運に左右される」と思われやすいのです。
活動実績の評価基準がわかりにくい
「英検」「ボランティア」「部活動の実績」などは評価されやすいですが、大学ごとに基準が異なります。文部科学省の資料でも総合型選抜の趣旨は示されていますが、詳細は各大学に委ねられているため「何が有利になるのか分からない」という不安が残ります。
“運”と感じやすい要素
- 面接で得意分野のテーマが出るかどうか
- 書類を読んだ担当者が共感しやすいかどうか
- 同じ活動でも表現の仕方で評価が大きく変わる
この偶然性が「ずるい」と見られる背景にあります。
学校・地域・家庭環境による格差が強調されやすい
AO入試は「活動経験」「自己表現力」が重視されるため、受験生の環境によって準備のしやすさに大きな差が出ます。
都市部と地方の格差
都市部では探究学習や国際交流の機会が豊富ですが、地方や小規模校ではそもそも選択肢が限られています。そのため「実績を積む機会がない」という不満につながります。
経済的な格差
AO入試専門の塾や講座は高額で、数十万円かかることもあります。経済的に余裕のある家庭ほど対策がしやすいため、「お金がある家が有利」という印象を持たれやすいのです。教育格差は 文部科学省 でも課題として取り上げられています。
学校の指導体制の違い
進学校の先生はAO対策に慣れており、志望理由書の添削や模擬面接をしてくれることが多いです。しかしAO入試に対応していない学校ではサポートがほとんどなく、情報格差がそのまま合否に直結することもあります。
AO入試の仕組みと誤解されやすいポイント
「AO入試はずるい」と感じる人の多くは、制度そのものを正しく理解できていない場合があります。
ここでは、AO入試の基本的な仕組みと誤解されやすいポイントを整理して解説します。
AO入試と総合型選抜の違い
かつて「AO入試」と呼ばれていた制度は、2021年度入試から「総合型選抜」という名称に変更されました。これは文部科学省の方針によるもので、入試の透明性を高めるために位置づけを明確化したものです。詳細は 文部科学省の資料 にも示されています。
旧来のAO入試は「学力試験なし・面接と書類のみ」と思われがちでしたが、現在の総合型選抜では以下のように評価基準が多面的になっています。
- 学力評価(基礎学力テストや共通テストの活用を推奨)
- 課外活動や探究活動の実績
- 自己推薦文や志望理由書
- 面接やディスカッション
つまり、単なる「自己アピール型入試」ではなく、大学が求める人材像に合わせて多面的に評価する制度へと進化しているのです。
書類・面接・活動実績で評価される具体的な内容
AO入試=「面接で元気に話せば合格できる」というイメージを持つ人もいますが、実際には複数の評価項目があります。代表的なものを見ていきましょう。
書類審査
志望理由書や自己推薦書では、単なる「志望動機」だけでなく、学びたいテーマや将来の展望を論理的に説明できるかが問われます。書き方ひとつで合否が変わるため、添削や複数回の練習が欠かせません。
面接
面接は「人柄を見ているだけ」ではありません。論理的な思考力、問題解決力、コミュニケーション力を評価されます。面接官は数名配置されるケースが多く、主観を排する工夫もされています。
活動実績
英検・TOEFLなどの資格、ボランティア活動、探究学習や研究発表、部活動での成果などが評価対象になります。ただし「有名大会での入賞」だけが有利というわけではなく、継続的な活動や独自の取り組みが高く評価されることもあります。
このように、AO入試は総合的に「人物像」を評価しており、簡単に突破できるものではありません。
「学力が低くても合格できる」という誤解の真相
「AO入試は学力が低くても合格できる」という声は根強くあります。しかし、これは大きな誤解です。
文部科学省は総合型選抜において「学力の3要素」を重視することを明確にしています。
- 知識・技能(基礎的な学力)
- 思考力・判断力・表現力
- 主体性・多様性・協働性
つまり、単なる学力不足を補うための制度ではなく、むしろ「学力+人物像」をトータルで評価する仕組みなのです。大学によっては基礎学力テストや共通テストの利用を義務付けているケースも増えており、「勉強しなくても受かる」という考えは時代遅れになりつつあります。
実際に 河合塾の調査 でも、AO入試での合格者が大学入学後に学力不足で苦しむケースが取り上げられ、近年は基礎学力確認を課す大学が増えていると報告されています。つまり、「学力不要」というイメージは現実にそぐわないのです。
実際に“ずるい”と感じる瞬間 ― 体験談と事例
「AO入試はずるい」と言われるのは単なるイメージだけではありません。SNSやQ&Aサイトの投稿、さらにはAO合格者自身の声からも、「ずるい」と感じられる具体的な場面が浮かび上がります。
ここでは実際の声をもとに分析し、AO入試のリアルな側面を探っていきます。
SNSや知恵袋でよく見られる声の分析
受験関連のSNSや掲示板では、「AOは不公平だ」「努力が報われない」という投稿が多く見られます。たとえば、Yahoo!知恵袋には次のような意見があります。
「一般入試で必死に勉強しているのに、AOで受かった友達はそこまで勉強していなかった。これってずるい気がします。」
このような声は「努力量」と「合格方法」の差から来るもので、特に一般入試組にとっては心理的な不公平感につながりやすいのです。また、SNSでも「模試でE判定なのにAOで有名大学に合格した」という投稿が拡散され、AO入試に対する疑念を強めています。
「塾や予備校に通えた人だけ有利」という指摘
AO入試のもうひとつの批判は「環境による格差」です。特に多く見られるのが「お金がある家庭だけ得をしているのではないか」という指摘です。
実際、AO入試に特化した塾や予備校では、志望理由書の添削、面接練習、活動実績の見せ方まで徹底的にサポートしています。こうしたサービスは数十万円単位の費用がかかる場合もあり、経済的に余裕のある家庭の方が有利になるのは否めません。
さらに、都市部の進学校ではAO対策のノウハウが整っているため、情報格差も大きな要因となります。地方や一般校では十分な指導を受けられず、「努力していても情報不足で不利になる」こともあり、これが「ずるい」という声につながります。
AO合格者のリアルな声:「誤解されやすい苦労」
一方で、AOで合格した学生の中には「周りからずるいと思われることがつらい」と話す人もいます。彼らは学力試験で戦わなかった代わりに、別の努力を重ねています。
自己分析と準備に膨大な時間が必要
志望理由書や活動実績をまとめるためには、自分の過去の経験を深く掘り下げ、何度も書き直す必要があります。AO合格者の多くは「夏休みの大半を自己分析と書類作成に費やした」と語っています。
面接やプレゼンのプレッシャー
AO入試では、面接やプレゼンで自分の考えを論理的に伝える力が求められます。慣れない受験生にとっては大きなプレッシャーであり、「試験勉強とは違う種類のストレスがあった」との声もあります。
合格後の視線
合格しても「AOだから簡単に入れたんでしょ」と言われることがあり、AO合格者自身が肩身の狭い思いをするケースもあります。実際には彼らも多くの準備や挑戦を経て合格しているのですが、その努力が可視化されにくいため誤解を受けやすいのです。
つまり、「AO入試はずるい」という印象は、合格者と不合格者の立場の違い、そして準備過程が見えにくいことから生まれているのです。
本当に不公平?AO入試のメリットとデメリット
「AO入試はずるい」と言われる背景には、メリットとデメリットの両面が存在します。受験生や保護者の立場によって感じ方は異なり、制度そのものが完全に不公平だとは一概に言えません。
ここでは、AO入試の特徴を客観的に整理し、どこに利点と課題があるのかを掘り下げていきます。
早期に進路が決まる安心感とモチベーションの維持
AO入試の大きなメリットのひとつが「合格時期の早さ」です。一般入試が本格化する前に合格が決まることで、受験生は精神的な安心感を得られます。
例えば、総合型選抜では秋ごろに合否が出るため、合格すれば残りの高校生活を有意義に使うことが可能です。実際に 河合塾の解説 でも、AO入試を「早期に進路を確定できる制度」として紹介しています。一般入試の長期戦と比べ、精神的な負担が軽減されるのは間違いありません。
また、合格後も「大学で学ぶテーマを意識して高校生活を送れる」という利点があります。これは、進学後のモチベーション維持につながる重要なポイントです。
一般入試組が感じやすい「努力の不平等」
一方で、一般入試を選んだ受験生からは「努力が報われにくい」という声が出やすいのも事実です。毎日長時間の勉強を続けている中で、AO合格者が「学力試験なし」で大学に進学する姿を見ると、不公平に思えてしまうのです。
ただし、AO入試は「勉強しなくても合格できる制度」ではありません。自己分析や活動実績の積み上げ、志望理由書の作成、面接練習など、別の形での努力が必要です。しかし、その努力は外から見えにくいため、「ずるい」という誤解を受けやすいのです。
さらに、塾や家庭の支援体制によって準備のしやすさが異なるため、環境格差が「努力の不平等感」を強めているのも現実です。この点が、競合記事ではあまり触れられていない「AO入試における心理的なギャップ」といえるでしょう。
入学後に起こりやすい“ギャップ”問題
AO入試には「入学後のギャップ」というデメリットも存在します。これは合格者自身にとっての課題であり、制度への批判の一因にもなっています。
学力面での遅れ
AO合格者の中には、入学後に授業についていけず苦労する人がいます。基礎学力が不足したまま大学に進むと、一般入試組との差を強く感じてしまうのです。そのため近年では、多くの大学がAO合格者に補習やリメディアル教育を提供するようになっています。
周囲の目線
「AOで受かったんでしょ?」という周囲の言葉がプレッシャーになることもあります。本人は多くの準備をしてきても、それが正しく理解されず、「楽に合格した人」というレッテルを貼られてしまうのです。
モチベーション低下のリスク
早期合格の安心感は大きなメリットですが、その一方で「燃え尽き症候群」のように勉強へのモチベーションが低下してしまうケースもあります。これが入学後の学習姿勢に影響し、結果的に「AO入試組は授業に弱い」という評価につながってしまうのです。
このように、AO入試には「早期合格」という大きな利点がある一方で、努力の見え方や入学後のギャップといった課題も存在します。これらを理解したうえで制度を利用することが、後悔しない進路選択につながるのです。
他では語られない“唯一の視点”
「AO入試はずるい」と感じる声の裏側には、実際に受験にかかる準備コストや環境格差、さらには塾・予備校が作り上げるビジネス構造があります。
ここでは、他サイトではあまり語られていない切り口からAO入試を掘り下げます。
AO入試にかかる準備コスト(時間・お金・情報)の実態
AO入試は「学力試験がない分ラク」というイメージがありますが、実際には膨大な準備コストがかかります。
時間のコスト
志望理由書の作成や自己分析、活動実績の整理には、数か月単位での準備が必要です。実際にAO経験者の声として「夏休みはほぼ毎日、志望理由書の推敲に費やした」という証言もあります。一般入試の勉強時間とは質が異なる“膨大な自己分析の時間”が必要なのです。
お金のコスト
AO対策専門の塾や予備校は高額で、受講料が数十万円にのぼるケースも珍しくありません。さらに、模擬面接や小論文対策、活動実績を整えるための留学・ボランティア活動なども加わると、家庭の経済力による差が顕著に現れます。
情報のコスト
AO入試は大学ごとに評価基準が異なるため、「どの活動が有利か」「どんな志望理由書が通りやすいか」といった情報を得ること自体が大きなハードルです。都市部や進学校では情報が入りやすいですが、地方や一般校では「情報にアクセスできない」こと自体が不利要因となります。
地方高校生でもAOで合格できた戦略事例
環境に恵まれていない地方高校生がAOで合格するためには、独自の工夫が必要です。実際の合格者事例から見えてくる戦略を紹介します。
地域活動を活かす
都市部ほど選択肢がなくても、「地域の課題解決」に取り組む活動は高く評価されます。たとえば、地元の農業体験や商店街の活性化イベントへの参加をテーマにした志望理由書は、大学側から「独自性がある」と評価されやすいのです。
オンライン学習や探究を活用
地方にいても、オンライン講座や自主的な研究活動を活用することで実績を積むことができます。コロナ禍以降はオンラインの探究活動やボランティアが増え、都市部との差を縮めるチャンスが広がっています。
「逆境」を逆に強みにする
AO入試では「逆境をどう乗り越えたか」というストーリーが評価されることがあります。地方で環境が限られていたとしても、「その中で自分が工夫して取り組んだ姿勢」自体が大きな武器になるのです。
予備校・塾が作る「AO入試ビジネス」とは?
AO入試の拡大に伴い、予備校や塾は新たなビジネスを展開しています。「AO専門講座」「志望理由書添削サービス」「面接対策コース」などが次々と登場し、受験産業の重要な収益源となっています。
例えば、大手予備校の中にはAO対策だけで年間数万人の受講者を集めるプログラムを展開しているところもあります。これらは確かに有効ですが、費用が高額であるため、家庭の経済力によって利用できるかどうかが左右されます。
一方で、「ビジネス化」されたAO対策は大学側も認識しており、単なる塾仕込みの面接回答やテンプレート的な志望理由書では合格できないように工夫を進めています。そのため、表面的なテクニックだけでは通用せず、本当に自分自身の強みを示せるかが合否を分けるのです。
このように、AO入試の裏側には「準備コスト」「地方と都市の格差」「塾ビジネスの影響」という見えにくい要素が存在します。これらを理解してはじめて、「AO入試はずるい」という言葉の本当の意味が見えてくるのです。
AO入試と推薦入試・一般入試の比較
「AO入試はずるい」と言われる背景には、他の入試方式との比較で生まれる誤解があります。
ここでは、AO入試・推薦入試・一般入試の特徴を整理し、それぞれに向いている受験生やメリット・リスクを解説します。
どんなタイプの受験生がAOに向いているのか
AO入試は「学力試験一発勝負が得意」という人よりも、自己分析や自己表現に強みがある人に向いています。具体的には以下のタイプがAO入試で力を発揮しやすいです。
- 探究活動や課外活動に熱心に取り組んできた人
- 将来やりたいことが明確で、言葉にして伝えられる人
- 面接やプレゼンなど、人前で自分の考えを表現するのが得意な人
- 「偏差値」では測れない個性や能力をアピールしたい人
逆に「自己分析が苦手」「やりたいことがまだ曖昧」という人は、AO入試では力を発揮しにくい傾向があります。つまり、AO入試は「努力の方向性」が学力試験とは異なるだけであり、誰にでも合うわけではありません。
推薦入試との違いと重なる部分
AO入試と混同されやすいのが推薦入試です。どちらも「学力試験以外の評価」を重視しますが、制度上の違いがあります。
推薦入試の特徴
- 学校長の推薦が必要(指定校推薦や公募推薦など)
- 評定平均(内申点)が重視される
- 比較的「校内の成績優秀者」にチャンスが多い
AO入試(総合型選抜)の特徴
- 学校長の推薦が不要(自己推薦で出願できる)
- 評定平均よりも「志望理由」「活動実績」「人物像」を重視
- 内申に自信がなくても挑戦可能
両者には重なる部分もあります。たとえば「志望理由書」や「面接」は両方で課されることが多く、準備方法が似ている部分もあります。そのため、一方の対策がもう一方にも活きるケースもあるのです。
「併願」のメリットとリスク
AO入試を受ける受験生の多くは、一般入試や推薦入試との「併願」を検討します。これにはメリットもあればリスクもあります。
併願のメリット
- AOで早期合格が決まれば、精神的な安心感が得られる
- AO対策で培った自己分析力や表現力が、推薦や就活にも活かせる
- 「第一志望はAO、第二志望は一般」と戦略的に選択肢を広げられる
併願のリスク
- AO準備に時間を割きすぎると、一般入試の勉強時間が不足する
- 合格発表の時期によっては、他方式とのスケジュール調整が難しい
- 「AOで不合格 → 勉強不足で一般も失敗」という二重のリスクがある
つまり、併願は「戦略的に活用すれば大きな武器」になりますが、準備配分を間違えると逆にリスクが大きくなるのです。この視点は「AO入試はずるい」と考える人にはあまり知られていない部分であり、制度の理解を深める上で重要なポイントといえるでしょう。
よくある疑問と回答(Q&A形式)
AO入試について調べると、「ずるい」という批判のほかに、就職や学力、さらにはコネの存在など、不安や疑問の声が数多く見られます。
ここでは、よくある質問にQ&A形式で答えていきます。
AO入試は就職に不利になる?
答え:基本的には不利にはなりません。
就職活動において企業が重視するのは「大学名」や「在学中の活動・経験」であり、「AO入試で入学したかどうか」を問われることはほとんどありません。採用面接で「あなたはAOで入学しましたか?」と聞かれるケースは極めて稀です。
むしろAO入試で培った自己分析力・プレゼン力・主体性は、就職活動で強みになります。大学によってはAO入試合格者に課題やレポート提出を義務づけるなど、入学後のフォローアップを行っているため、基礎学力不足を補う仕組みも整いつつあります。
したがって「AO=就職に不利」という考えは誤解であり、むしろ準備過程で身につけたスキルをどう活かすかが重要です。
AO合格は“コネ”や“裏口入学”と関係ある?
答え:制度としては無関係です。
「AO=コネ」という誤解は、評価基準が不透明に見えることから生まれています。しかし、AO入試(総合型選抜)は文部科学省が正式に制度化している入試方法であり、制度設計の趣旨にも「公正な評価」を行うことが明記されています。
もちろん、大学によっては「面接官との相性」「活動実績の見せ方」で評価が分かれることはありますが、これはあくまで試験の性質によるものであり、裏口入学やコネ採用とは全く別物です。
むしろ最近では、表面的な活動実績や塾の添削頼みの志望理由書では合格しにくくなっており、本質的に「何を学びたいか」「どう貢献できるか」を示せなければ合格できない傾向が強まっています。
AOで入った人は大学で伸びないのか?
答え:一概には言えません。むしろ伸びるケースも多いです。
「AOで入った人は大学で伸びない」という指摘は、一部のAO合格者が基礎学力不足で授業についていけないことから広がったイメージです。しかし、これはAO入試全体の特徴ではありません。
伸び悩むケース
- 基礎学力不足のまま大学に進学した
- 合格後に燃え尽き、勉強意欲を失ってしまった
- 周囲からの「AOだから」という視線で自信を失った
逆に伸びるケース
- 入試準備で行った自己分析が、そのまま大学での学びの指針になった
- 課外活動や探究学習を大学でも継続し、専門性を伸ばした
- AOで求められる主体性や発信力を就職活動に活かした
実際、大学によってはAO合格者の方が授業参加率や課外活動参加率が高いというデータもあります。つまり「AOだから伸びない」というのは偏見であり、本人の姿勢次第でむしろ成長のチャンスが広がる制度なのです。
「ずるい」と感じたときにできる考え方の転換
「AO入試はずるい」と思ってしまうのは自然な感情です。特に一般入試で努力を積み重ねている受験生にとっては、努力の量と合格の形が合わないように見えるため、不安や嫉妬につながるのです。
ただし、その感情を放置してしまうと勉強のモチベーションを失ったり、自分に合った進路を見失う原因になります。ここでは、考え方を少し転換するヒントを紹介します。
嫉妬や不安の感情を整理する方法
まず大切なのは、「自分の気持ちを客観的に捉えること」です。嫉妬や不安は「自分の努力が報われないかもしれない」という恐怖から生まれます。以下のように整理してみると、感情に振り回されにくくなります。
- 「なぜずるいと感じたのか?」を書き出す(例:努力量の差、不透明な評価への不安)
- 「相手と自分の状況は同じではない」と意識する
- 「今の自分ができること」に集中する
このように、自分の気持ちを言語化するだけでも不安や嫉妬が軽くなります。心理的な整理は受験期のストレス対策としても有効です。
自分に合った入試方式を選ぶ視点
「AO入試はずるい」と考えてしまう背景には、「自分も挑戦すべきだったのでは?」という迷いも含まれています。大事なのは、他人と比べることではなく「自分に合った入試方式」を見極めることです。
AO入試が向いている人
- 課外活動や探究活動に力を入れてきた人
- 将来やりたいことが明確で、言葉にして伝えられる人
- 自己表現やコミュニケーションに強みがある人
一般入試が向いている人
- コツコツ勉強して成果を出すことが得意な人
- 試験本番で実力を発揮できる人
- 自分の活動実績に強みを感じにくい人
どちらが優れているということではなく、「自分の力を一番発揮できる方式を選ぶ」ことが重要です。制度の違いを理解し、自分に合う道を選ぶことこそが戦略的な進路選択になります。
「ずるい」制度を逆にチャンスに変える発想法
AO入試を「ずるい」と否定的に捉えるだけでなく、「どうやって自分の武器にできるか」と考えることで前向きに活用できます。
情報を武器にする
AO入試は大学ごとに評価基準が違うため、情報を持っているかどうかで差がつきます。調べる・相談する・体験談を聞くといった行動自体が、入試戦略を広げるチャンスになります。
一般入試組も活かせるスキル
AO入試で必要とされる「自己分析力」「表現力」は、一般入試組にも役立ちます。面接、小論文、さらには就職活動に直結するスキルなので、AO対策の一部を取り入れることは無駄にはなりません。
「制度を知ること=選択肢を広げること」
AO入試はずるい制度ではなく、「知らないと損をする制度」と言い換えることもできます。知識を持っていれば自分が挑戦することもできるし、挑戦しないとしても他人を羨む気持ちが薄れ、冷静に自分の勉強に集中できます。
つまり、「AO入試はずるい」と感じた瞬間こそ、自分の受験戦略を見直すチャンスです。感情を整理し、制度を理解し、自分の道を選び直すことができれば、その不安や嫉妬は前進のエネルギーに変わっていきます。
まとめ
「AO入試はずるい」と言われる背景には、努力量や評価基準の違い、環境格差など複数の要因があります。しかし、実際には制度を正しく理解し、自分に合った活用法を見つけることで、進路の可能性を広げることができます。この記事で取り上げたポイントを整理します。
- 「AO入試はずるい」という声の背景には、一般入試組の努力と成果が見えにくい比較構造がある。
- AO入試(総合型選抜)は単なる「面接で合格する制度」ではなく、書類・面接・活動実績・基礎学力を総合的に評価する仕組みに進化している。
- SNSや知恵袋では「模試でE判定でもAOで合格」という声が見られるが、AO合格者も膨大な自己分析や準備に取り組んでいる。
- AO入試は早期に進路が決まる安心感がある一方で、一般入試組から「努力の不平等」と見られやすい。
- 合格後には「学力不足」や「周囲の視線」といったギャップ問題が起きやすいが、大学側の補習制度などでフォローされる例も増えている。
- 準備には「時間・お金・情報」という大きなコストがかかり、経済格差や地域格差が「ずるい」と見られる原因になっている。
- 地方高校生でも地域活動やオンライン学習を活かすことでAO合格を実現した事例があり、工夫次第で環境差を逆転できる。
- 予備校や塾による「AO入試ビジネス」が広がっているが、表面的な対策だけでは合格できず、主体性や独自性が重視されている。
- 推薦入試とAO入試は混同されやすいが、推薦は内申・評定を重視、AOは人物像や将来の意欲を重視する違いがある。
- 併願はメリットも大きいが、AO準備に時間を割きすぎると一般入試対策が不足するリスクがある。
- 「AO入試は就職に不利」というのは誤解であり、むしろ自己表現力や主体性は就活に活かしやすい。
- 「AO=コネ」というイメージも誤解。制度は公正に設計されており、裏口入学とは無関係。
- AO入試で伸び悩むケースもあるが、逆に自己分析や探究活動を大学で活かして伸びる学生も多い。
- 「ずるい」と感じたら感情を整理し、自分に合った入試方式を選ぶことが大切。制度を正しく理解すれば不公平感は軽減できる。
- AO入試は「ずるい制度」ではなく、「知っている人がチャンスを掴める制度」と言い換えることができる。
AO入試に対して不公平感を持つのは自然ですが、情報を正しく理解し、自分にとって最適な入試方式を選ぶことで、不安や嫉妬を前進のエネルギーに変えることができます。